君が好きになるまで、好きでいていいですか?


その向き合ったら場所は、そういえばあの日に屋上で会った時の立ち位置だ

スゥッと後藤が胸に息を吸い込んで…………


「沢村万由さん、俺と付き合って下さい。」




改まってそう言いながら、胸ポケットから名刺を差し出した


「……………」


思わずよみがえる情景に唖然とした


「………万由?」


「はっ! いやなんかびっくりして………」

でも確実に気持ちが変わってて、信じられないほどドキドキしてる


「よ………よっ、宜しくお願いしますっ」

その名刺を両手で受け取った


「あれ?」

名刺にはあの時のように色々書いてあったけど、さらに後ろの面にはテープで貼り付けられた鍵がついていた


「一花から返してもらった鍵だけど、いい?」

後藤さんの家の鍵だ…………

コクコクと頭を下げた

「あのっ、キーホルダー着けていいですか? 出来ればお揃いの」



「もちろん、今度一緒に買いにいこうか」


万由の顔がパァッと赤くなった


 う、嬉しい………

何だろぅ、この幸福感ってちょっと初めての感覚なんですけどぉ………


顔を上げ、何ヵ月か前に告白を断ったその背の高いイケメンを、マジマジと見直した



「あの、ひとつ聞いていいですか?」



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