君が好きになるまで、好きでいていいですか?

そんな事を呟く万由に、歩美はビシッと人差し指の先を向ける

「何のために遠くまでランチに来たと思ってるの?! こんな話食堂やミーティングルームでしてみなさいっ血祭りものよっ!」


「そんな、大袈裟な………」


歩美がはぁっ、と首を振った

「あんたのその天然なところ、私は好きなんだけどね。もう少し状況に危機感持った方がいいよ」

私はもう食べ終わって、コーヒー啜ってるけど、歩美さん早く食べないと時間無くなっちゃう

「そんなすごい人………じゃあきっと何かの間違いだったのかもね」


「…………んな訳無いじゃない。ここに、
『沢村さんへ』って書いてあるし」


「あれ、本当だ!」


「…………」


改めてまじまじと名刺の裏面を読み出した万由に呆れた顔をする歩美

「で、どうするの? 返事は」

「へっ? もう断ったけど。歩美さん早く食べないと時間ないよ」


「……………はぁっ?!な………」


 ♪~♪~♪~

「あっ」


机の端に置いておいた携帯電話の着信音が鳴ると同時に万由の目が一瞬で輝いた

食事中にごめんね、と言わんばかりに肩を屈めて、横を向いて小声で話を始める万由


「慧ちゃん? うん………今日はランチ来てて………そう、歩美さんとぉ」

万由の前でそれを聞きながら目を細める歩美

「………なんでイチイチ誰と?とか聞くかなぁ」

気持ち声を弾ませて嬉しそうに話す万由にそう呟きながら、食べるのが遅くなっていたパスタをモソモソと頬張る


「………じゃあ、いつもの所で先に行ってるから、金曜日にね、はぁい。」

スマホを切った後、ふふっと頬を上げる。





「慧斗くん……?まだ続いてるの? 金曜日」

「あ、うん。先週は新入社員歓迎会でダメだったから、今週も忙しいかなって思ってたんだけど、遅れるからって」

いつの間にか食べ終わって、紅茶を啜る歩美が低い声で聞いた質問に、そのままの声を弾ませて答える


「あのさぁ万由………」


「あっ!!歩美さん、もう戻らないと時間なくなるぅ」

歩美のお小言が始まるのは分かっているのか、遮って席を立つ



言いたいことは分かってる…………
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