君が好きになるまで、好きでいていいですか?
『さんざん営業部のやり方にケチつけた後、最後の飲み会で酔ったふりして、後藤課長に抱きついたんだってぇ』
どうして、みんな何にも知らない癖に勝手な事言うの?
「万由………大丈夫?」
慧斗のマンションの部屋に着くまでずっと黙ったままの万由
「…………っ」
下腹部に違和感を感じ、嫌な予感がした。
「……慧ちゃん、ごめんトイレ借りるね」
やっぱり…………
嫌な予感は、的中していた
生理きちゃった
「………………」
「ごめん、慧ちゃん今日は帰る………」
トイレから出た万由がそう言うと、慧斗が心配そうに近づいてきた
「万由、もしかして会社の連中の事気にしてる? だったら………」
「ちっ違う、違うあの………」
………生理が、なんて言えない
「あっもしかして生理きちゃった?だったら薬あるよ。コンビニ行く?」
「………っ!」
慧斗が薬を探すためにいろんな棚の中を開け出した
「確か、ここだと思ったんだけどどこ入れたのかなぁ」
…………誰が入れといた薬?
「慧ちゃん、いいよ。私別にそんなにお腹が痛くなるわけじゃないから………」
トイレにあった汚物入れ、付き合い始めてまだ2週間たってないけどでも…………
慧ちゃんあんな物使わないじゃん
私は、気軽に生理の話できるほど慣れてない
………ダメだ。嫌な事ばかり頭に渦巻いてて
どうしようもないの
「…………万由?」
「慧ちゃんごめん、やっぱり帰る。だって…………ここに居場所がないもん」
「居場所?」
慧斗が心配そうに目を伏せている万由の顔を覗き込む
「慧ちゃんの部屋も、会社もあの人の物ばかりだもん。全部まだ私を否定してるみたい…………」
悲しいけど、お揃いの食器やへやのキッチンに掛けてあったエプロンとかも
わがままだけど出来れば気付いて欲しかった。
黙り込んだままの万由に、慧斗が口を開いた