君が好きになるまで、好きでいていいですか?
金曜日 PM7:30
「万由、遅くなった、ごめん」
縦にした手を額より上げて頭を下げる慧斗
「大丈夫、遅れるって言ってたから本屋に寄ってたし、さっき座ったばっかりだよ。取り敢えずグラスビールと、ササミチーズは頼んでおいたけどね」
そう言ってメニューを渡した
「さすが、気が利くねぇ~万由ちゃん」
万由と、慧斗の勤務する会社の間にある洋風居酒屋。
わりとアットホームな雰囲気で、お酒を飲むより、一品料理を色々楽しむお店
「慧ちゃん、最近忙しいの?」
「ん~?まあ、ぼちぼちかな。どっちかって言えばこれから忙しくなると思う」
グラスビールを飲みながら小さい溜め息をつく
建築会社に勤める慧斗には仕事に波がある
そんな中で一週間の調整して、金曜日は会ってくれる
「忙しくなったら無理しなくていいから」
こころにも無いことを言ってみる
「そんな事したら週末心配で仕方なくなるだろ…………」
そう言ってフワリと大きな手のひらが万由の頭を撫でる
2歳年上の実家の隣に住んでいた幼馴染み
宮下慧斗(みやしたけいと)
昔からずっと兄のように気にかけてくれて、大学に時代から週末の金曜日はいつも近況報告会のように会っていて
就職してから、一人暮らしし始めても職場が近いこともあって、それはずっと続いている
「万由に悪い虫が付かないように見張っておかないと」
昔っからそうよね慧ちゃん、お陰で今まで、まともにお付き合いしたことありません。
小さい頃からからずっと兄妹みたいに一緒にいて………
「今週は、何かあった?」
「ん~ これと言って別に……………あ」
一瞬の出来事だったから忘れてた……………
視線を下げて、考え込む
「?」
「………………あったような気がする」