君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「大丈夫、じゃあ私も一緒に出ようかな。」
まだ慧ちゃんが来て一時間くらいしか経ってない…………でも、仕方無いかぁ
「……………」
いつも払うって言っても、レジで先に払ってしまう慧斗。結局今日もその後ろについていると、徐に彼が後ろを振り返る
「そうだ、万由も一緒においで」
「へっ?」
まるで問題が解決したような顔をしてそう言う
「会社のすぐ前の桜がまだ綺麗なんだ。万由にも見せたかったし。」
「桜? もうどこも散ってるのに?」
慧斗の会社
場所は知っているけど足を運んだ事はない。だって、多分居るでしょそこには
慧ちゃんの彼女さんが…………
何気に見たことのある会社の人が写った慧斗の写メにその人が写っていた。綺麗な人
「わあっ!!」
「な、綺麗だろ!」
周りの桜の木にはすでに青葉が出始めているのに、一本だけほぼ満開の状態で咲いていた。
慧斗の建築会社ビルの道を挟んで反対側
公園の敷地内から道に枝を伸ばした形でその一本の桜があった。
「なんでこの木だけ?」
首を傾げて、見上げながら聞いた
「…………知りたい?」
慧斗が勿体振った言い方をしながら目を細める
「実は、この木の周りは霊の通り道なんだ」
「?!!」
咄嗟に耳を塞ぐ万由
そんな万由を見ながら、クックックッと肩をゆらす
「嘘だよ、相変わらずそうゆうの嫌いだな万由は」
「もうっ!!」
相変わらずいじわるっ!!
「…………慧斗?」