君が好きになるまで、好きでいていいですか?
忙しいねぇ………
だんだん腹が立ってきた
なにやってんだあの男
「彼の部屋に行って待ったりしないの?」
この際だから、鉢合わせさせるのも………
「ははっ、歩美さんにはそうしろって言われたんですけど、でもやっぱり疲れて帰ってきたら気を使わせちゃうし」
「…………そう?」
付き合いだした彼女を面倒だと思うもんか
「もともと幼馴染みだから、古女房みたいなもんなんです。やっぱり帰ります。」
「……………」
彼が本当に仕事だと分かればで問題解決か?
それなりに浮気も疑ってたのか?
それとも、カンのいい木原さんの受け売りか?
しかし………
これ以上やっぱり悲しませたくないな
「俺、会社まで帰るけど………一緒に帰る? 沢村さんのマンションって電車の方向はこっちでしょ」
「…………そうですね。」
同じ方向の電車に乗りこんだ
「……………」
「……………」
隣同士で座席に座るが、たいしてする会話もなく、電車に揺られる
「それ、晩御飯ですか?」
万由がこの沈黙に話かけた
「えっ?ああ、適当にコンビニで買ってきた。匂う?」
カツ丼弁当にビール
「いえ、カツ丼好きなんですか?前にもそれでしたよね。ええと、営業部の手伝いの時」
「そうだった?でもよく食べるかな。余り自炊する暇がないから。沢村さんは、飲んできたの?」
そう言われて、咄嗟に口を押さえる
「匂います?」
「いや全然、ちょっと顔が赤いから。弱いよねお酒、木原さんと飲んでたの?」
口を押さえたまま、はいっと答える
「女子会かぁ、今度俺も入れてよ。奢るから」
「……………」
「ん?」
急に彼女が黙り込んだ
「後藤課長ってやっぱり浅野主任みたいに軽いんですね。」