君が好きになるまで、好きでいていいですか?
別れたくないんです。





私がいくら恋愛初心者だからって、馬鹿にしている

私が彼を、何年想い続けていたと思っているんだ

この部屋の状況には失望しか感じられない



合鍵を持っているんだ
メールひとついれて買い物をして
ご飯を作って慧斗の帰りを待とうと思っていたのに………


「この前来た時よりなんか気になる物が増えてる…………」


片付けられている物もあるが、それは目に見えてたものだけ、例えばキッチンに置いてあったエプロンとか歯ブラシとか………

なんで、キッチンがこんなに綺麗なの?
自炊してない割には、冷蔵庫に卵やドレッシングが買い足してあるし…………



やっぱり、って言うか絶対違和感がある
元カノが出入りいているのは明白だ


ここは、私よりお手のものって事ですか?

今は、私が慧ちゃんの彼女なんだと、何度も自分に言い聞かして、オムレツと、シチューを作る


『ただ、送って行っただけ、何もない』
そう言った慧ちゃんを信じたい。




「万由………さすがだね。やっぱりおばさん直伝のオムレツは美味しいよ」

「でしょ、でもこれ以外だって得意料理はまだあるんだから。今度はね………」


「…………万由」

明るく、楽しげに話を進めていこうと思うのに、慧斗の困ったような顔が何か物言いたげで………


「これ食べたら送って行くよ。今日はもう遅いから」

「帰りたくない」


「万由、ごめんでも聞いて………」

慧斗の声のトーンで、万由は声さえも出せずに首を振った

肺がみるみるパンパンに腫れ上がる感覚かする

そのまま自分で作ったオムレツを口いっぱいに頬り込んだ…………

どうして私が帰らなきゃいけないの?!

さっきから鳴り続ける携帯に慧ちゃんが落ち着かない


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