君が好きになるまで、好きでいていいですか?




「やっぱり、帰って来ないかぁ………」




日が上がり、だんだんとマンションの外の音が騒がしくなっていくのが分かる


「酷い顔………」

時間が経つにつれて溢れてくる涙を、止めることができずに何度も擦りとった

鏡の中にいる腫れ上がった顔面に思わず心のない笑いが込み上げてくる


何がどうなっているのかまだ何も分からない
慧ちゃんがどう考えているのか
気持ちがどうなっているのか……………

和音さんに何があるのか


でも、気付いてしまった
慧ちゃんのベッドについた口紅の後………


「いつ付いたものなのよぉ……これぇ………」





歩美さんに相談したら解決出来るかな




「ああ、会社行かなきゃ………」










早い時間帯に

屋上に来るのが日課だった

朝から気合いを入れるために……………

今日は本当に天気のいい日だった


気合いなんか入る筈がない


寝不足と泣いて腫れ上がった目で、頭まで
ぼぉっとする


「おはよう」

そう声をかけてくるのが誰だか分かってはいるが、声を出す気力もなく、頭を下げた

万由の様子を見て、後藤はそのまま何も言わず隣に座った

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