君が好きになるまで、好きでいていいですか?
優しいキスと、迫る想い。


会議を終えて、人に見付からない様に屋上へ上がった。


ゆっくりドアを開けると、朝のままベンチに座る彼女がそこに居て、少しホッとした。

名前を呼んでみても返事がない。

「なんだ………眠ってるのか」

頭を下げベンチに身体を預け静かに眠り堕ちていた

後藤は、隣に腰を降ろして彼女の辛そうな首を自分の肩に凭れさせた


意外と髪の毛は細めなんだ………

顔に掛かるサラサラな肩まである彼女の髪を耳に掻き上げる


「ん…………」

眠り込んでまだそんなに経ってないのか、
微かに瞼が濡れたままで、赤く腫れた目尻には渇ききっていない涙の跡が残っていた

「…………」

万由の頭を少し引寄せ、その涙の跡を拭った

他の男のためにボロボロと泣く、そんな彼女になんとも言えない虚しさを感じる


彼女の中にいる、あの男の存在を消す事が出来たら…………


「…………俺にすればいいのに」



こうして俺の中にいる君は、今だけ俺のもの

「……………沢村」



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