君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「それが困るんです。」

そうしてもらっても、私には何も返せない


眉を歪ませて俯く万由の横で大きく溜め息をつく

赤信号で一旦車が停まると、後藤が万由の方に視線を向けた

「だったらその抱えてる問題を早く解決するんだな………」


「そんなことっ…………課長には関係ないじゃないですかっ」


私だって、好きでこんな事になってる訳じゃない

思わずまた、じわりと目頭が熱くなる


「……………そうだよな。悪かった」


「……………」


その後は黙り込んだまま、マンションに着いた。
「明日はちゃんとします。ご迷惑お掛けしました。」と一言お礼を言って車を降りた。

          

昨日は帰らずにそのまま会社へ行ったので丸1日ぶりの自分の部屋なのに、気持ちのせいか、ガランとしてより一層寂しさが感じる

「……………っ」

一人でいると嫌なことばかり頭に浮かんで、またじわりと涙が滲んで止められない


こんなんじゃぁ、明日も顔が腫れたままだ

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