君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「万由、生きてる?」
仕事を終えて、真っ直ぐ万由の部屋を訪れてくれた歩美
「はいっ、これ差し入れ」
手にはコンビニの袋に、ビールや酎ハイと軽く食べられるおにぎりやサンドイッチ、おつまみや御菓子が入っていた。
「……………ありがとうございます」
気分が悪くて会社休んだ事になってるのに、差し入れがビールって
「後藤さんから何となく聞いた。ちゃんと話が出来るのは私だから様子見に行ってあげてって」
「…………後藤課長、何て言ってた?」
「最近の万由の様子が良くないのは分かっていたってさ」
そう言って、意味ありげに目を細めた
「う………」
「私今日、泊まってくから」
よく見れば、ビールや酎ハイはすべてノンアルコールだった
「酷い顔して、どれだけ泣いてたの…………
ってか、なにがあったの?」
一応昨日あった事と、今朝の電話の事を思い出しながら「どうしたらいいのか分かんない」とまた、目を滲ませる
「なんか、元カノとの立場が逆になったみたい。付き合う前は毎日メールか電話があって、基本毎週会ってたのに、今は元カノと堂々と浮気してるみたい」
「……………」
そう言われて下唇を噛んだ
「悪いこと言わないから、ハッキリさせたほうがいいと思う。
念願叶って付き合いだしたんだからちゃんと聞きたい事は聞かなきゃ」
自信なく首を振る万由
「…………暫く会えないって、和音さんの事ほっとけないって言われたのに、電話なんて出来ないよ」
溜め息をつきながら万由の腫れた目尻を冷やすためのアイスノンを渡す
「ねぇ………こんな事言うのもなんなんだけど、この際後藤さんにしたら?」
「はっ?!」
「いや、直ぐにって訳じゃなくておいおいそう考えていくのも、悪いことじゃないかなって」
そう言って万由の顔を覗き込んだ歩美に
今度は思いっきり否定の念を込めて首を振った
「…………私まだ別れるとは言ってないよっ」
そんなこと絶対に考えられない