君が好きになるまで、好きでいていいですか?


「ええーーっ誰よ! それ、相手はぁ?」

後ろにいる女子社員もだんだん興奮ぎみになってくる


いやいやいやいや…………知らないしぃっ!!!




「それがねぇ…………分かんないらしいのよぉ
会社の屋上に居るんだからうちの社員なんだと思うんだけど、後藤課長の背広着てて誰だか分かんなかったらしいわ。それに見た瞬間その子ショック受けて直ぐに降りて来ちゃったって…………」

「なんで?」

「その総務課の子、後藤課長の大ファンで
今日こそ告白しようと待ってたんだって」

「ええェッ…………それはダブルショックだぁ」



「「……………っ」」

肩を屈めて、思わず息を潜める二人



「あ…………見てみて!後藤課長、女子社員たちに囲まれてるぅ………」

「!!!」

「ああ、問い詰められてる………可哀想」

食堂に質問詰めで逃げながら入ってきた後藤の登場を、後ろの女子の会話が教えてくれた



「したの?」

「しっ、知らないっ!…………眠ってたし、それにその人だってハッキリ見た訳じゃないんでしょっ………み、見間違いだよきっと」


ヒソヒソと誰にも聞こえない様に、声を潜めて小さくなりながら話す

「あれ?……………こっち向いた。頭抱えながら何か話してるげど。ほら、またこっち見たよぉ」

後ろの女子が丁寧に後藤の実況をする



「出よう、万由なんかヤバイ」

「……………」


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