mariage~酒と肴、それから恋~
「え?」

目を見開いてじゅんくんを見つめる。


「俺は、本気です」


「いや、でも、私、さっきの男と…」

人の道、外れるような女だよ?


「後悔してるんでしょう?もう終わったことなんでしょう?」


コクンとうなずく。

後悔してる。だからこそ、自分から身を引いた。


「でも、私、年上だし…」


「年なんて変わんないって、いつも言ってるじゃないすか」


「で、で、でも…、じゅんくん恋愛はこりごりだって…」

うろたえながら、自分の顔から耳まで、みるみる赤く、熱くなってくのを感じていた。


「確かに、恋愛で嫌なこともあったけど、でも、自分の中で消化できてます。

カンナさんと出会って、前に進みたいって思えた。

カンナさんいつも笑ってくれるから、もっと喜んでもらいたいって、俺をやる気にさせてくれるんです。

カンナさんがいるから、頑張れるんです」

じゅんくんの耳も赤い。

目尻が下がって、恥ずかしそうにはにかむ。


私の好きな笑顔。


愛おしさが込み上げてくる。


カウンターもない。営業スマイルもない。

何にも阻まれてない。


そう思ったら、タガが外れたみたいに溢れてきた。
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