虹と日だまり
教室に戻るとまわりが一瞬静まった。
ああ、これでわたしが浮かれた顔でも
してたらまわりの反応も少しは違うんだろうけど...
自分の席まで戻ってきた優季に、瑠璃は
早速声をかけた。
「どーだったの?竜崎くんは。
...って、なんか青ざめてるよ?」
さすがに瑠璃にはばれるか。
「はは、なんかもう...
似すぎてて...」
「...ハルくん?」
「うん。」
「......つらくなっちゃった?」
つらくなった...のかもしれない。
優季をは心のなかでそう思った。
「ねえ瑠璃。
竜崎くんの下の名前って知ってる?」
「いや?知らないけど...ってまさか!」
「...春っていうんだって。
もうわたし、あの人と普通に接する
ことができるかわかんない...」
「..................................................」
「ねえ、優季...
ハルくんって本当に死んじゃったの?」
「!そうだよ!
わたしをかばって事故で死んだ!
お母さんもはっきりそう言ってた!」
なにやってるんだろう、わたし...
瑠璃にあたるなんて...
自嘲めいた溜め息をついた。
「竜崎くんのしゃべり方とか、
あの笑顔とか...会話の端に見える印象が
ハルくんと話すときのそれみたいで
すごく似ているの。
その上名前もなんて...」
「...似すぎてて恐いの。
ハルくんに似てるからって理由で気を
許しちゃいそうで。
それって、ハルくんにも竜崎くんにも
失礼だし。」
「んー、でも、やっぱり竜崎くんにも
ちゃんと接したほうがいいと
思うよ?それでもし、ハルくんと
重なりすぎてつらくなったらいっそ
そのこと竜崎くんに話してみたら?
優季の気が向いたらでいいけどね」
「...うん、ありがとう。
少し落ち着いた。」
「いーえ!なんもだよん!」
とかく明るいこの友人には、
なんだかんだでいつも助けられている。