私がアイツに恋する時。
……そんなことも……あったな。
ぼんやり考えながらノートを拾う。
「琴奈。早く行くぞー。」
「はいはい。すぐに行くから。」
私がノートを拾う隣で聞こえてくる声。
間違いなく中林と琴奈さん。
私だってバレないように下を向いて顔を見られないようにする。
「きゃっ!」
バサバサッと嫌な音がする。
琴奈さんが私がおいておいたノートを蹴飛ばしてしまったみたい。
「もぅ。誰?こんなところにノートなんて。」
「いーや。それはよく周りを見てない琴奈が悪い。ちゃんと拾ってあげろ。」
最悪。
さっさと行ってほしかったのに。
2人の仲がいいとこなんて見たくない。
「はぁーい。ごめんね。」
私の横に集めたノートを置いた。
「あ……大丈夫です。」
顔をあげられず小さくそう言った。
「何?あの子。感じ悪いよぉ。」
「気にすんなよ。それより琴奈は優しいね。ちゃんと拾ってあげたんだな。」