私がアイツに恋する時。



ただ学校に着いてからが大変だった。



教室に入る前にふと雄介君とすれ違った私。


一瞬目が合う。


もちろんすぐ目をそらして教室の中に。



「どうして僕から逃げるの?」



大きな声でみんなに聞こえるようにそう言いだした。

視線はもちろん私と雄介君に集まる。



「僕のこと中林と2人で散々いいがかりつけてよく学校来れたよね?」

『友哉くんを殺したくせによく学校に来れたよね?』


フラッシュバックする記憶。

思わずその場にしゃがみこむ。



「水谷さん、そんなことしてたの?」

「中林くんって…あの子だよね…。」


ひそひそ声が飛び交う。


どうして?

どうしてそんなウソつくの?



「賀菜がそんなことするわけないでしょ?」



…晴香?


「そーだよ。」


みんな…。


私…まだ何も言ってないのに。

私のこと…かばってくれるの?


違う…。

中学のあの頃と…。


美優と。



「お前ら…水谷の味方するの?んじゃいいけどさ、証拠でもあんの?」



証拠にこだわる弱い奴。

でも…残念ながら証拠なんてものはない。



みんなが私と雄介君の言い分。

どっちを信じるか…それだけ。

< 99 / 193 >

この作品をシェア

pagetop