装飾職人見習いとして、片田舎で父と二人で暮らすアベル。
でなかなか出会いがない彼が出会ったのは、一体の人形。
最初はただ気になるだけだった存在が、次第に彼のすべてを捉えていき……。
アベルのファビエンヌへの対する気持ちはただ一途に純粋で、何の打算もなく彼女に尽くす様は幼いけれどもなかなか出来ないこと。恋愛としての欲はあっても、相手の気持ちや幸せを第一に考えている……けれど、やはり相手は物言わぬ人形ということで物足りなさはありますが、アベルの心が籠った愛情に次第にファビエンヌも心が宿ったのかもしれません。
“彼女”の由来等は気になりますが、きっとファビエンヌはアベルの愛を一心に受けて幸せだったのだと思います。
父親の息子を思うあまりに悲しい結末を迎えますが……アベルもある意味本望だったのやもしれません。どこまでも綺麗で悲しいお話しでした。