リアルラヴァーズ
先程述べたとおり、彼らにとってこの世界はお遊びだったから、注目を浴び続けるのは面倒であるから。
けれどもこの安定した高い人気に事務所は辞めることは許さず、仕方なくこの世界に居るという話だ。
だから、彼らにとってスキャンダルは別に起きても構わないそうだ。スキャンダルが報じられれば、人気は下がり、この世界とおさらばできるのでは、という考え方である。
私は知らないが、その為、メンバーは結構普通に出歩いて、一般の人と一緒に遊んだりしてるそうだが。……個人的には考えたくないが、彼女とも普通に外を歩いてデートをしているらしい、そう、今の私たちのように……。
そこまで考えて、私はほんのり頬が赤くなる。
そう、私の隣に居るこのキレイな人が、芸能人で、彼氏だなんて!
嬉しいけど、ちょっぴり何か恥ずかしい。
「コーヒー、飲むだろ?」
辿り着いた先は、これまた世界的に有名な、コーヒーカフェ店。
「うん!」
彼が仕事が休みで、それが平日な時、私は学校だ。
結局会えるのは学校の終わる放課後。
彼は私を何かと心配してくれて、適度な時間になったら帰るよう促してくれる。その為、限られた時間は僅か。なので、こういったコーヒーカフェや喫茶店で時間を潰すのが主である。
私はたったそれだけでも、楽しいし、嬉しい。
違う、会えるだけで幸せなのだ。
……りょうもそうだったら良いな、と思うのは、私の我侭かなあ?
そう思いながら、私はカフェ・ラ・テをすすり、目の前の彼を気付かれないようにずっと見続けていた。
まさか、今日聞いたりょうのドラマの話が、私にとって波乱な夏休みになるなんて、この時は思いもしなかったのだ。
そう、もうすぐ私は高校最後の夏休みを迎えるのである。