上司がキス魔で困ります

 そして課長は目を細めて私の手をとる。

 手を取られた瞬間、心臓が跳ねたけど、待ちきれなかったという言葉は飛んでいけそうなくらい嬉しかった。

 どうしよう。これ本気でとってしまいそうになるんだけども!


 そして私たちは手をつないだままマンションへと向かう。

 改札を出てからマンションのエントランスまで直結になっているので、
「なるほど送らなくてもいいというのはこういうことか」
と、課長はうなずいた。


「家族の防犯意識が高くって」
「それはよいことだと思う」


 蘭ちゃんの防犯意識が褒められた。なんだか複雑だけど。



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