上司がキス魔で困ります

「どうぞ」


 鍵を開けて玄関の中に招き入れると同時に
「お招きありがとう」
と、持っていたブーケを渡された。


「えっ、私にですか!?」
「どう考えてもそうだろう」


 課長はクスリと笑う。


「いえ、その、そう思わなくって……ありがとうございます」


 蘭ちゃん以外の男性から、お花をもらうのは生まれて初めてだった。

 きっと最初で最後だよー!


「わぁ、可愛い……」


 ピンクと黄色が華やかな、お花のブーケである。

 これは目に焼き付けておかなければと凝視していると、
「めぐ」
 課長の手がうつむく私のあご先を持ち上げ、顔を寄せてきた。



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