上司がキス魔で困ります

 そのまま膝の上に横抱きにされてしまった。


「甘い匂いがする」


 そして私の首筋に顔を埋める課長。
 だけど体を近づけてきた課長からも、甘い匂いがした。
 一緒にキッチンに立っていたからだ。


「たっ、多分、同じ匂いですよ……!」


 やっぱり膝に乗せられるのは恥ずかしい。顔をそむけようとすると、課長の手が私の眼鏡をとってテーブルの上に置いた。


「なるほど、確かにそうかもしれない」


 そして課長は両手で私の頰をはさみ、頰を傾けキスをした。

 そろりと入ってくる舌にぞくぞくと体が震える。
 大きな手が耳まで覆ってしまうから、頭の中でキスの音が響く。



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