上司がキス魔で困ります

 ランチメニューは生ハムとアスパラガスのパスタとグリーンサラダ、オニオンスープである。

 ちょっぴり豪華なランチは一時間もかからず完成した。手を動かして私も平常心に戻れたと思う。

 よしっ……もう大丈夫。

 ダイニングテーブルの上にランチョンマットを敷き、そこからリビングの課長に声をかけた。


「ごはん出来ましたよー」


 けれどリビングから課長の反応がない。

 どうしたんだろうとリビングを見てみれば、ソファーから降りてパズルの前に座ったまま、課長はテーブルに頬杖をついて、すうすうと眠っていた。


「課長……?」


 ラグの上に膝をついて、課長の顔を覗き込んで、ちょっとどきっとした。





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