上司がキス魔で困ります
「へっ、へぇ〜!」
ただ、ただ、ビックリした。
「まぁ、以前からその話出てたしね。今更って感じだけど。次の課長が誰になるか気になるところだよ、俺は」
「そうだね……」
確かにちょいちょいとそんな話は出ていた。私だって知ってる。
だけどそれが現実になるなんて……。
安良田もやっとの思いでこぎつけたデートのことで頭がいっぱいで、私のそんな変化も特に気にならなかったようだ。
あんまりにもビックリしすぎて、この後のことはあんまり覚えてない。
だけどなんとか【MERI】に戻って普通に仕事をして、でも良悟さんとは一度も目を合わせないまま、
「お疲れ様でした!」
と、誰よりも早く帰ることにした。