上司がキス魔で困ります

 バーにはカップルが他に三組いて、月曜日にしてはなかなかの賑わいだ。

 みんな笑顔で楽しそうに酔ってるから、自分が世界で一番不幸な気がしてくる。


「新しいの作って持ってくるから、水でも飲んでろ」


 私達が座っている、入り口の側にあるソファー席にマスターである龍さんがやってきて、空のグラスと水の入ったグラスを交換していく。


「ありがと……」


 冷たい水が火照った体を冷やしてくれる。

 ふうっとため息を吐いて、ソファーの背もたれに身を委ね天井を見上げた。


「で、めぐ。どうするのよ」
「どうするもこうするも……フィンランドだよ」



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