上司がキス魔で困ります

 うそ、なんで?
 でもどこからどう見ても、良悟さんだ。


 そして良悟さんは床に座り込んだ私を見て、急いで駆け寄ってきて、抱き起こす。


「来るのが遅くなってすまない」


 優しい手に、熱に。ああ、彼はここにいるんだって、ぐうっと熱い塊がこみ上げてくる。


「な、なんだね、君は!」
「春川の上司です」
「そして同僚です!」


 さらに部屋に飛び込んできたのは、なんと安良田だった。


「あっ、アラタ?」


 なんで安良田がここに!?


 ポカンとしていると、良悟さんは私を立たせ、荷物をかき集めて安良田に渡す。



< 161 / 188 >

この作品をシェア

pagetop