上司がキス魔で困ります

 とりあえずこれは自分の力で頑張れってことだよ、うん。
 兄一人説得できずして行けるかフィンランド!

 固く決意して、半分緊張しながら自宅マンションに戻ると、蘭ちゃん以外に男性用のピカピカに磨かれたビジネスシューズがもう一足。

 蘭ちゃんのお友達かな?
 いやその前にずいぶん帰宅が早いみたいだけど。まだ九時前だよ?


 そんなことを考えながら「ただいま」とリビングを覗いて、驚いた。


「えっ、良悟さんっ!?」


 そう、そこにスーツ姿の良悟さんがいたのだ。


「えっ、なんで!? 良悟さん、お仕事はどうしたの!?」
「めぐちゃん、おかえり」


 良悟さんとテーブルを挟んだ上座に足を組んで座っているのは、仕事帰りのスーツ姿の、蘭ちゃんだ。


< 176 / 188 >

この作品をシェア

pagetop