上司がキス魔で困ります
とりあえずこれは自分の力で頑張れってことだよ、うん。
兄一人説得できずして行けるかフィンランド!
固く決意して、半分緊張しながら自宅マンションに戻ると、蘭ちゃん以外に男性用のピカピカに磨かれたビジネスシューズがもう一足。
蘭ちゃんのお友達かな?
いやその前にずいぶん帰宅が早いみたいだけど。まだ九時前だよ?
そんなことを考えながら「ただいま」とリビングを覗いて、驚いた。
「えっ、良悟さんっ!?」
そう、そこにスーツ姿の良悟さんがいたのだ。
「えっ、なんで!? 良悟さん、お仕事はどうしたの!?」
「めぐちゃん、おかえり」
良悟さんとテーブルを挟んだ上座に足を組んで座っているのは、仕事帰りのスーツ姿の、蘭ちゃんだ。