上司がキス魔で困ります

 そしてひょうひょうとした様子で私を見上げ笑っている。


「蘭ちゃん、まさか変なこと言ったんじゃないでしょうねっ!?」
「変なこと? まさか」


 そして蘭ちゃんはソファから立ち上がり、足元にいたまめさんを抱き上げて、立ち尽くす私の顔をいたずらっ子のような笑顔で覗き込んできた。


「俺は彼の覚悟を尋ねただけだよ」
「覚悟……?」


 それはいったいどういうことなのかと、今度は良悟さんに視線を向けると、彼は立ち上がって私に近づいてきて、そして私の肩に、ぽんと手のひらを乗せた。


「また明日、会社で」
「えっ……はい……」


 せっかく会えたのに、また明日と言われてしまった。
 だがそんなことで臆する私ではない。結構最近の私は図々しいのだ。


「改札まで見送ります」


 蘭ちゃんの視線は気になるけれど、良悟さんの後を追いかけた。


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