上司がキス魔で困ります

 エレベーターに乗り込んで、良悟さんの隣に立つ。


「あの、ついてきてごめんなさい」
「……めぐ」


 良悟さんは笑って私の頬を撫でる。


「そんなわけない。嬉しかった」


 そしてふと顔を上げ、エレベーターの頭上を見回した。


「どうしたんですか?」
「いや、カメラがあるのかと思って」
「ありますよ」
「残念だ」


 そして良悟さんは、意味がわからず首をかしげる私の耳元に顔を寄せてささやいた。


「キスしたくてたまらない」
「そっ、それはっ……」


 ダメというべきだが、言いたくない。

 だって私もそうしたいから。



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