上司がキス魔で困ります
エレベーターを降りて、良悟さんの手を引き改札ではなく裏手に回った。
こっちにはほとんど使われることがない大型ゴミ用の収集所があるのだ。
そしてドキドキしながら良悟さんに抱きついた。
息を吸うと彼の匂いがする。
「なんだか久しぶりな気がします」
「そうだな。おかげで俺は今最高にロマンチックな気分になってる」
頭上から優しくて低い声がして、そのまま抱きしめられた。
唇が額に押し付けられて、ちゅっと音がした。
そして良悟さんは、私の存在を確かめるようにギュッと力を込める。
「あの、兄が?」
「ああ。連絡をもらった時は驚いたが」
どうやら良悟さんに直接連絡を取ったらしい。
「蘭ちゃんと何を話したんですか? あの、蘭ちゃんは否定してましたけど、本当になにか失礼なこと言わなかったでしょうか」