上司がキス魔で困ります
「話した内容はまだ話せない。たけど彼がめぐを心から大事に思っているのはよくわかったよ」
良悟さんのその声色に、かすかに楽しんでいるような気配がした。
その瞬間、ざわりと首の後ろあたりに悪寒が走る。
まさかまさかまさか……。
いや、まさか……。
「あの、良悟さん」
おそるおそる顔を上げる。
「ん?」
切れ長で涼しげな眼差しは、相変わらず綺麗だなぁ、と思うのだが。
愁いを帯びた唇の端がかすかに震えているのを私は見逃さなかった。
「まさか、見ました?」
「……ふふっ」
「見たんですね!!!」