上司がキス魔で困ります
「もうっ……」
戻ったら文句を言ってやろうと意気込んでお手洗いを出たところで、
「あれ、もしかして春川さん?」
と、声をかけられた。
「え?」
振り返れば、派手な雰囲気の女子が二人立っていた。
いかにも絵に描いたようなファッショナブルな出で立ちで、買い物をしたばかりなのか紙袋をいっぱい持っている。
「あ、やっぱりそうだぁー。ずいぶんめかしこんでたから一瞬わかんなかったけどー」
どこかからかうような声色に、心臓がドキン、と跳ね上がった。
「あ、村上さんと、島田さん……?」
声が震えないように振る舞うのが精一杯だった。