上司がキス魔で困ります
彼女たちはわたしが通っていた女子校のクラスメイトだった人たちだ。
もちろんそれだけじゃない。
私の息を詰まらせる、苦い思い出がある……。
「大学卒業した時以来だよねー」
「全然同窓会とか来ないでしょ、春川さん」
そんなわたしの思いをよそに、二人はグイグイと迫りながら、私の顔を覗き込んでくる。
「おでかけ?」
「あ、またお兄さんとでしょ。かっこいいもんねぇ、春川さんのお兄さん」
「あんなお兄さんいたら、確かに彼氏なんて作れないよねー」
女子二人の甲高い声に、くらくらと眩暈がし始める。
「あの、」
早くここから逃げ去りたいのに、足が思うように動かない。