上司がキス魔で困ります

「でもちょっと異常だよー。異常。ちゃんと自覚してる? 今はまだ若いからいいけど、気がついたらすぐババアになっちゃうから」
「あ、男紹介してあげよっか。春川さん、ずっと地味だったから合コンとか行ったことないでしょ。今日の春川さん、まぁそこそこ及第点だし、呼んであげてもいいよ」
「いや、そういうのはちよっと……」


 ジリジリと後ずさる私に、迫り来る二人。


(あ、もうだめだ。気分悪い。吐きそう。)


 すうっと目の前が白くなりかけたその瞬間、後ろから伸びてきた腕が、私の腰に回り、引き寄せる。


「めぐ」


 耳元で名前を呼ばれた。
 肩越しに振り返ると、音羽課長だった。


「めぐ遅い。探した」


 そして課長は、私を抱いたまま、村上さんと島田さんを見下ろす。


「めぐの知り合い?」
「えっ!?」
「あのっ、」


 突然の音羽課長の登場に、二人の顔が真っ赤になった。



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