上司がキス魔で困ります

「ああ、悪い……」


 そして課長ははあっとため息をつき、周囲にほとんど誰もいないのを確認してから、大きな木の下に腰を下ろした。


 長い両足を投げ出して座った課長は、とりあえず隣に三角座りをする私の頭を引き寄せる。


「春川くん、顔色がよくないから横になりなさい」
「え?」
「いいから」


 そして気がつけば、課長の膝に仰向けに寝かされてしまっていた。

 なんと膝枕である。

 男性に膝枕してもらうってどういうことだと思ったが、そよそよと吹く風が気持ちよくて、吐き気と頭痛がだいぶ楽になった。
 

「ありがとうございます……少し、楽になりました」



< 78 / 188 >

この作品をシェア

pagetop