上司がキス魔で困ります
もーっ、膝枕どころじゃねーわ!
上半身を起こしハンカチで涙をぬぐう。
ちなみにボロッボロに泣いたのにマスカラは落ちていなかった。
新人の頃はまだちゃんとマスカラしてたからよくパンダ目になっていたものですけど。
これミノリんとこで買わなきゃ。ハハ……。
ハンカチを出したついでに、グロスがポロリとバッグから落ちて、芝生の上を転がった。
課長が手を伸ばし拾いあげる。
「これなに」
「唇に塗るんです。グロスです」
「塗るの?」
「塗りますね……ってまさか!」
ハッとして顔を上げると、グロスを指に挟んだままの課長が、私の体の横に手をつき、身を乗り出してくる。