上司がキス魔で困ります
「塗るのは後にしなさい」
「な、なんででしょう……?」
一応お約束のように尋ねてみると。
課長はもまたお約束の笑顔で頰を傾けた。
「それはもちろんキスがしにくいからだな」
少し下から押し上げるように唇が押し付けられ、それから両方がつかまれる。
及び腰の私を逃さないと言わんばかりだ。
何度も顔の向きを変えて、軽いキスをして、課長はいちいち「可愛い」とか言うから、この人私の息を止めにかかってきた暗殺者かな?なんて思ったりして。
ああ、ダメだ。一度意識するとドキドキが止まらない……。
そうやって、長いキスのあと、課長はコツンと私のおでこにおでこをぶつけて顔を覗き込んでくる。