上司がキス魔で困ります

 その目はとても澄んでいて、まっすぐに私を見つめる。

 あまりにも綺麗だから言葉が出なかった。


 それから課長は腕時計に目を落とす。
 気がつけばそろそろ六時になりそうだった。


「暗くなる前に解散だったか」
「……あ、はい。そうです……」


 そうだ。私、自分でそう言ったんだ。映画を観て、お昼食べて、暗くなる前に解散って。

 信じられない。
 自分で決めたことなのに、その時の私はそれでいいと思ったなんて、信じられない。

 この楽しい時間が終わっちゃうってこと?


 唖然としていると、
「めぐ」
 課長はクスッと笑って、それから私の頭の上に手のひらを乗せた。


「明日もある」
「そっ、そうですね!」



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