上司がキス魔で困ります

 私の考えることなんか、課長にはお見通しだったようだ。
 恥ずかしいな……。


 私の髪をすいた後、そのまま指の背で私の頰を撫でる。そして首の後ろに手をやって、自分の方に引き寄せ口付けた。

 グロスを塗っていたから、一瞬だけ唇がくっついた。
 そして当然のことだけど、課長の清潔感のある唇に、うっすらとピンクが乗る。


「あの、ちょっと……」


 思わず課長の唇を指で拭うと、その指をかじられた。
 真っ白で健康そうな歯に甘噛みされて、背筋がぞくりとした。


「なんで嚙みつくんです」
「おいしそうだったから」


 思わず自分の指を見る。

 確かに白くてフワフワして、おばあちゃんウケする手だけども。


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