上司がキス魔で困ります

 そして課長は、私の手を取り立ち上がった。


「家まで送る。帰ろう」


 ちなみに課長の手は大きくて、指がすらっと長いから、ここにも差を感じる。格差社会だ。

 そして駅に向かって歩きながら、不穏なことを口にする課長。


「早く俺に食べられたくなればいいんだが」
「……そ、それは」


 課長、あれ、食人鬼的な、グールみたいな……ってワケないよね。

 でもやっと自分の恋心に気付いたのに。その先なんて、想像するのすら無理だ。


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