上司がキス魔で困ります

 キスしてくるけど、課長ったらバリバリの帰国子女だし。情熱のスペイン語圏だし。

 私は、周りの女子から告白されないための嘘彼女という立場で、そもそも私がこんなこと言いださなかったら、こんなことになってないわけで。

 こういうことを含めて、百戦錬磨の美女であるミノリに相談できたら、これほど心強いことはない。


「ただいまー……」


 玄関を開けると、
「おかえり!」
エプロン姿の蘭ちゃんが飛んできた。


「今日はね、めぐちゃんの大好きなオムシチューだよ……ん?」


 おたま片手に私の顔を覗き込んでくる蘭ちゃん。


「えっ、なっ、なに?」


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