とあるおじさんの話

おじさんの話2

おっと話が逸れちゃったね。
母親が倒れたと聞いた彼女は急いで病院に向かったんだ。
彼女は信号を待っていた、すると横から車が突っ込んできたんだ。
彼女は電柱と車に挟まれた。
彼女の身体は半分になったと思う。何故“思う”なのかは、ね、死体の上半分だけ“無かった”んだ、どこにもないんだ、引き摺った跡もなくてね…下半分はあったんだよ。不思議だろ？もっと不思議なのがその事故のあった次の日から、下半身のない女の子が突然目の前に現れて、｢なぜお前なんかが生きているんだ｣って言うんだって…
ははっ怖がらないでよ、噂だよ、噂、事故の次の日からそういう噂が回り始めたんだよ。
不思議だろ？
目撃したって人も出てきた。勿論その事故のあった場所付近だと思うだろ？違うんだよ、全国各地、死んだ女の子と同じくらいの子どもを持った父親の前にだけ現れるんだ。
ある時は玄関の前、ある時は帰宅途中、ただ、てけてけとは違って、出会っても｢お前じゃない｣って言ってすぐ立ち去るんだって。