あったか☆ドーナッツ
もうひとくちかじろうと口を開けると不意にドーナツは消えた。
「梢恵?」
見上げるとドーナツは博人の手で上に掲げられていた。
「先輩、何するんですか」
「電話して。実家に行こう」
「いないかもしれないし」
「だから電話するんだろう? 電話したらドーナツは返すから」
博人がこんな大人げないことをするのは初めてだった。博人の目はきつく梢恵を見つめていた。きっと怒っている、そう思った。でも実家に博人を連れていく気は毛頭ない。
「博人ごめん」
「どうして謝る」
「別れてほしい」
「どうしてそんなことを言う」
「どうしても」
「俺と結婚したくないから?」
「……そう」
「どうして」
「私は先輩にふさわしくないの」
「どこが」
「家柄も私自身も、すべて」
「俺の実家は名家でも豪族でもない。一般的な家庭だし。梢恵っだってなにを引けを取ることがあるか」
「ダメなの。だって私は……」
「梢恵?」
見上げるとドーナツは博人の手で上に掲げられていた。
「先輩、何するんですか」
「電話して。実家に行こう」
「いないかもしれないし」
「だから電話するんだろう? 電話したらドーナツは返すから」
博人がこんな大人げないことをするのは初めてだった。博人の目はきつく梢恵を見つめていた。きっと怒っている、そう思った。でも実家に博人を連れていく気は毛頭ない。
「博人ごめん」
「どうして謝る」
「別れてほしい」
「どうしてそんなことを言う」
「どうしても」
「俺と結婚したくないから?」
「……そう」
「どうして」
「私は先輩にふさわしくないの」
「どこが」
「家柄も私自身も、すべて」
「俺の実家は名家でも豪族でもない。一般的な家庭だし。梢恵っだってなにを引けを取ることがあるか」
「ダメなの。だって私は……」