あったか☆ドーナッツ
「これはね、アメリカの野球少年たちのお話なの。野球をやりたい子どもたちを集めて4つのチームに割り振って試合をする。そこには試合には全員を出場させなければいけないというルールがある。どんな下手な子でも1試合に一度は出番がある、ということ」
それっていいじゃん、とサッカー万年補欠の隆太が喜んだ。
お前が出たら負けるだろ、と同じサッカーチームのレギュラーの勇樹は怒ったように言う。
「だから試合に負けちゃうこともある。でもそれがルールだからどのチームも守る。初めは足手まといだった男の子も練習に参加するうちに少しずつ上手になってバットに球があたるようになる、ヒットにつながるようになる、そして勝つことにつながっていく」
そうだよな、とレギュラー勇樹が調子のいいことを言って、あちこちでクスクスと笑い声が上がった。
そんななか、モモネは眉をひっつめて立ち上がった。
「野球ってことは登場人物は男の子ばかりですか?」
「お話の中ではそうね。でも男女混合チームにしてシナリオをつくることはできるわ」
それならいい、とモモネは椅子に座った。みんなが、いいね、と声を出している。当番が決を採った。賛成に全員の手があがる。それじゃあ決まりね、と久美子先生が手をたたいてホームルームは終わった。
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