あったか☆ドーナッツ
お金もほしい。勉強する時間もほしい。そんなジレンマに悩んでいたころ、凛という派手な女子に声をかけられた。髪をほんのり茶に染めて、白い顔にはファンデーションが乗せられていた。制服のスカートも膝よりだいぶ短い。名前を覚えていたのはドロップアウトした不良で有名だったからだ。凜は校門の柱にもたれかかり、私を呼び止めると足元から順に目でなめ上げる。思わず傷だらけのカバンを後ろ手に回した。でも今度はくすんだローファーが露になる。そんな私を凜は鼻で笑った。
『あんたんち、貧乏なんだって? おさがりでしょ、それ』
見て分かったくせに、と上目づかいに彼女を睨んだ。
『バイトばっかしてて成績落ちたんでしょ。こないだ廊下に並んでるとこ、見たもん』
『……しょうがないじゃない』
『お金ほしくない?』
『……』
欲しくないと言えば嘘だ。再びくすんだ自分のローファーを見つめる。そのすぐ詐欺にはピカピカのローファー。
『2時間で10万とかどう?』
『え?』
彼女——凜が持ち掛けてきた話は援助交際だった。凜は知り合いの40歳のIT企業社長に頼まれて、校内をうろついていた。私が苦学生であるこを知り、ウリを紹介してきたのだ。凜に言わせると私は童顔で幼く見え、スタイルもそう悪くはないらしい。私は迷った。しかし背に腹は代えられない。考えておくと返事をして倉庫のバイトに向かった。
『あんたんち、貧乏なんだって? おさがりでしょ、それ』
見て分かったくせに、と上目づかいに彼女を睨んだ。
『バイトばっかしてて成績落ちたんでしょ。こないだ廊下に並んでるとこ、見たもん』
『……しょうがないじゃない』
『お金ほしくない?』
『……』
欲しくないと言えば嘘だ。再びくすんだ自分のローファーを見つめる。そのすぐ詐欺にはピカピカのローファー。
『2時間で10万とかどう?』
『え?』
彼女——凜が持ち掛けてきた話は援助交際だった。凜は知り合いの40歳のIT企業社長に頼まれて、校内をうろついていた。私が苦学生であるこを知り、ウリを紹介してきたのだ。凜に言わせると私は童顔で幼く見え、スタイルもそう悪くはないらしい。私は迷った。しかし背に腹は代えられない。考えておくと返事をして倉庫のバイトに向かった。