あったか☆ドーナッツ
翌日、同じように校門で待ち伏せていた凜から50万の値が付いたと聞かされた。うち10万円のマージンを凜がもらうという取り決めで、ここで引き受ければ40万が手に入る……入学金を払える額だ。それをたった2時間。
『それって怖くないの?』
『怖くないよ。オジサンたちはみんな優しいし。変なことしたらもう紹介しないって言ってあるから下手なことはしないし』
『じゃあ……』
私はそのおいしい話に飛びついた。渡りに船だった。
指定された場所に行くと男は私をタクシーに乗せた。中肉中背のいたって普通のサラリーマン風だった。ドラマで見るような陳腐な色合いの、ギラギラとシャンデリアが光る部屋だった。男は丁寧に梢恵から制服を剥がし、私の幼い体を貫いた。罪悪感はなかった。若さを切り売りする貴重な職業とさえ思った。男は客でありながらコドモの私に丁寧に礼を言い、代金のほかに小遣いをくれた。初めて手にする札束に手が震えた。
それからというもの、私は凜から男を紹介してもらい、体を売った。中には暴力的な男もいた。おしっこを飲ませろという気持ち悪い男もいた。回数を重ねるにつれ、金額も落ちていったが毎回もらえる万札を郵便局のATMに預けていた。
未来への投資と思えば体を売ることは善だった。不思議と罪悪感はなかった。ただ、コトを終えてベッドから降り、下着を身につけるときになると母の姿が脳裏をかすめた。荒れた指先で錆びた縫い針を持ち、背中を丸めて穴の空いた下着を繕う見窄らしい母の姿が。何故にそんな姿を思い出すのか自分でも分からなかった。
『それって怖くないの?』
『怖くないよ。オジサンたちはみんな優しいし。変なことしたらもう紹介しないって言ってあるから下手なことはしないし』
『じゃあ……』
私はそのおいしい話に飛びついた。渡りに船だった。
指定された場所に行くと男は私をタクシーに乗せた。中肉中背のいたって普通のサラリーマン風だった。ドラマで見るような陳腐な色合いの、ギラギラとシャンデリアが光る部屋だった。男は丁寧に梢恵から制服を剥がし、私の幼い体を貫いた。罪悪感はなかった。若さを切り売りする貴重な職業とさえ思った。男は客でありながらコドモの私に丁寧に礼を言い、代金のほかに小遣いをくれた。初めて手にする札束に手が震えた。
それからというもの、私は凜から男を紹介してもらい、体を売った。中には暴力的な男もいた。おしっこを飲ませろという気持ち悪い男もいた。回数を重ねるにつれ、金額も落ちていったが毎回もらえる万札を郵便局のATMに預けていた。
未来への投資と思えば体を売ることは善だった。不思議と罪悪感はなかった。ただ、コトを終えてベッドから降り、下着を身につけるときになると母の姿が脳裏をかすめた。荒れた指先で錆びた縫い針を持ち、背中を丸めて穴の空いた下着を繕う見窄らしい母の姿が。何故にそんな姿を思い出すのか自分でも分からなかった。