ネコと上手に付き合う方法



昼休みは人が多いな…



大翔から逃げるようにやって来た図書室。



人があまりいなさそうな所を探していると、見覚えのあるポニーテールの女の子がいた。



「あ。」


「!?な、なんで西谷(にしや)先輩がここに!?」



もの凄く動揺してる。



確か名前は……そう、亜璃(あり)ちゃんだ。



「一応俺、図書室愛用者なんだけど。」



なぜそんなに驚く必要があるのか?



その答えは、亜璃ちゃんがいた場所にあった。



「あれって、小乃美ちゃん?」



亜璃ちゃんは申し訳なさそうにうつむくと、



「覗き見るつもりはなかったんです。たまたまここに来た時、小乃美が寝ているのを見付けて、無防備に寝てるものだからハラハラして。そしたら先輩が現れて…」



あ、そう言えば小乃美ちゃんは以前、亜璃ちゃんが誤解を解いてくれたとか言ってたな。



もしかして見られてたってことか?



いや待て。恥じる行為はしてないはずだ!



でも、万が一…



「亜璃ちゃん、それはダメだよ。俺、なんか恥ずいじゃん。」


「そうですか?端から見てもとても微笑ましい光景でしたよ?」



亜璃ちゃんは柔らかい表情で微笑んだ。



「でも……今日は寂しい。」



ふと窓の外に目をやる。



「小乃美が捨てられた猫みたい。」



小乃美ちゃんは寝るわけでも何かするわけでもなく、膝を抱えただボーっとしていた。



「小乃美は昔っから甘いものには目がなくて、さっきのお菓子をあげていた松田君は家が洋菓子店だから、よく小乃美におやつを持ってきてくれるんです。」


「餌付けされてるってこと?」


「まぁ…そんなとこですかね。で、でも、小乃美は松田君に対して恋愛感情はなくて…!!」



今度は小乃美ちゃんの誤解を解きたいのだろうか?



亜璃ちゃんは必死に俺に訴えかける。



「例え小乃美ちゃんに恋愛感情がなくても、懐かれた男はみんなあわよくば…って思ってると思うよ?」


「先輩…も?」


「俺は、どうなんだろう…。懐かれて嬉しいって言うより、君と一緒で放っておけないって感じかな。」



窓の外に目をやった後、



「でも、懐いている相手がたくさんいるなら、わざわざ俺が見守らなくても大丈夫そうだね。」



俺は亜璃ちゃんにそう笑いかけ、その場を去った。



「先輩…」



亜璃ちゃんが心配そうに俺の背中を見つめていたのも知らずに…


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