ネコと上手に付き合う方法
ウキウキな大翔に半ば強引に連れられて校門へ行くと、笑顔の亜璃ちゃんと困った顔の小乃美ちゃんが待っていた。
「じゃあ、どこで打合せします?」
「取り敢えずカラオケ?」
「なんでだよ。」
なんで亜璃ちゃんと大翔は今までほとんど話したことないのに、こんなにノリノリなんだ?
「いいじゃないんですか?個室だし。」
なんかもう、好きにして…
俺は、こそっと小乃美ちゃんに耳打ちする。
「亜璃ちゃんどうしたの?」
「私にも分からないんです。今朝、急に先輩達と海行こうって言われて…」
「小乃美ちゃんは、嫌だった?」
「嫌っていうか…水が苦手で。泳げないし…」
「ふふ。本当に君は猫っぽいね。」
「そ、そうですか…?」
小乃美ちゃんに見上げられるのは久し振りで…
あれ?こんなに会話したのも、久し振りかもしれない。
最近は、あの場所では本当に昼寝か本しか読んでなかったからな。
「良かった。もう西谷先輩、話してくれないかと思ってた。」
思えば、小乃美ちゃんは下を向くことが多くなった気がする。俺のせい?
「ごめん。そういうつもりじゃなかったんだけど。なんか気まずくて…」
「いいんです。それでも毎日あの場所に来てくれるだけで、嬉しかったから。」
小乃美ちゃんはフワッと微笑んだ。
あぁダメだ。俺はやっぱり…
「うん。」
俺も君と同じように微笑んで見せたけど、ちゃんと笑えていただろうか?