ネコと上手に付き合う方法



カラオケルームに入ったはいいが…



「大翔先輩、ちょっとうるさいんで静かにしてもらえません?」



大翔のオンステージだった。



「あいつ、下手なくせに歌うの好きなんだよな。」



と言ってカラオケとマイクの音量を下げるも、大翔はそのままノリノリで歌い続ける。



「幸せな人ですね。」



亜璃ちゃんは冷めたように言うもんだから、なんだか少し可哀想に思えてきて、



「でも、ああいうとこ羨ましいとも思うよ。自分に素直に生きるって、なかなか出来るものじゃないでしょ?」



亜璃ちゃんはチラッと俺を見ると、



「まぁ…そうですね。」



視線をスマホに戻して小さく返した。が、



「でも、まだ何も決まってないんです。」



突然立ち上がって、大翔に迫った。



「先輩、歌ばっか歌ってないで協力して下さいよ!」



…亜璃ちゃん。怒ったつもりだろうけど、それ大翔には逆効果だよ。



「ん?亜璃ちゃんも一緒に歌いたいの?いいよ。デュエットしよう。」


「ちょ、ちょっと!」



ご機嫌の大翔は亜璃ちゃんの肩を抱いて熱唱。



一方の亜璃ちゃんはそんな大翔にタジタジになっていた。



「亜璃ちゃんのあんな姿、珍しい。」



ふふふと小さく笑う小乃美ちゃん。



その笑顔はやっぱり可愛くて、思わず俺も笑顔になってしまう。



「水は苦手だけど、先輩達となら楽しめそう。」


「せっかくだから楽しまないとな。」



そう笑い合っていると、



「何、二人の世界作っちゃってんの?」



いつの間にか歌い終わっていた大翔が割って入った。



「そんなんじゃねーよ。」



心なしか顔が熱い。



ふと小乃美ちゃんを見ると、恥ずかしそうにうつむいていた。



あれ?これって…



「んじゃ、真面目に計画立てますか!」



大翔は俺の隣にドカッと座り、



「まずはいつにするよ?」



俺と肩を組んで楽しそうにスマホを覗き込む。



「7月下旬~8月上旬かな。大翔、予定は?」


「あー。8、9月はやること多いんだよな。」


「そっか。じゃあ7月中ってことでいいかな?」


「はい!」



小乃美ちゃんは元気に返事を返すも、亜璃ちゃんはというと…



「はい…」



大翔のペースにのまれ、ぐったりしていた。


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