ネコと上手に付き合う方法
「佐々木ー。いつもの…」
「松田君ごめんね。それ、もういいや。」
「え、、、」
「松田君残念ね。小乃美は心に決めたご主人様が見つかったみたいよ。」
移動教室での授業が終わって再び小乃美ちゃん達の教室前を通ると、肩を落とした松田君が目に入った。
それに引き換え、尻尾を振っている幻覚さえ見えそうな小乃美ちゃんの笑顔。
松田君、なんか…ごめん。
「あっ。」
亜璃ちゃんは何か思い出したかと思うと、突然大翔の腕を引っ張り、耳元でこそこそ話出した。
「なに話してたの?」
「べ、べ、べ、別に。」
大翔、必死に平然を装ってるけど、顔真っ赤だぞ?
「ふ~ん。“別に”ね~。」
わざと大翔の耳に息を吹き掛けてみる。
「や、やめろよ俊!」
おお、ものの見事な動揺っぷり。
こりゃ亜璃ちゃんに完全に堕ちたな。
ポンポン
「亜璃ちゃんには振り回されるだろうけど、頑張れ。」
大翔の肩を叩くと、
「お、お前は小乃美ちゃん、どうすんだよ?」
またまた意外な返しに言葉が詰まる。
「お、俺はスロースターターだからいいんだよ。」
「俊は慎重で奥手だからな~。俺の方が早かったりして。」
ぐっ…!!
大翔に頭をぐしゃぐしゃにされ、形勢逆転された気分。
でも、図星だから何も言い返せない。
「俊、可愛いなぁ~。」
「調子に乗んな。」
「うぐっ…」
俺は大翔にヘッドロックをかましてやった。