ネコと上手に付き合う方法
ある日の休み時間、俺は小乃美ちゃんの教室に来ていた。
「亜璃ちゃん、小乃美ちゃんは?」
「さぁ、どこでしょうね?私にもどこへ行ってるのか分からないんです。」
「参ったな…」
「どうかしたんですか?」
「さっき貸したCD、中身違ってたんだよね。」
今日はたまたま大翔と小乃美ちゃん二人同時にCDを貸すことになっていた。
各々のCDを持って来たのはいいけれど、さっき大翔に貸そうとしたら、中身がテレコになっていたことに気付いたんだ。
「それ、今日中じゃなきゃダメですか?」
「んー、できれば。大翔が今日使いたいって言ってたからさ。」
「え、大翔先輩のため?」
いや、そんなあから様に“なんであいつのために”って顔しなくても…。
「あぁ見えて、あいつピアノ凄く上手いんだよ。今、バンドのキーボードやってるから、次の曲作成の参考にしたいって…」
「それ、本当ですか!?」
「え、ホントの事だけど。」
亜璃ちゃん、急に食いついてきたな…
「じゃあ今日、一緒に帰りましょう。小乃美も連れて行きますから。」
ぐいっと身を乗り出した亜璃ちゃんの迫力に押され、
「う、うん。」
俺は頷くことしか出来なかった。